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2014年(平成26年)
10月15日
第29巻4通卷191号
昭和62年5月22日第三種郵便物認可
チャップリン>191号
高齢者の生活
〜サルコペニア〜
■サルコペニアとは
かつては加齢とともに筋肉量が減少し、筋力が低下するのは老化現象であると考えられていました。80歳を超えれば,筋力は衰え、動作は緩慢になり、骨折・転倒を起こしやすくなる。これはまさに老化であり、不可避の現象であると認識されていました。
しかし、1980年代後半になってサルコペニアという概念を提唱するに至り、このような加齢に伴う筋肉量減少をある程度病的なものとして認識する必要性が出てきました。サルコペニアとは、ギリシャ語のsarco,peniaというそれぞれ筋肉、減少を意味する語を組み合わせることによりできた造語であり、高齢者においては、筋肉量の減少がある一定レベル以上に進行すると、転倒、要介護状態、死亡などのリスクが高まることが明らかになってきました。筋肉量の減少だけでなく、歩行速度、握力など筋力に基づく機能低下が生命予後に関係するという報告も認められるようになり、サルコペニアの重要性が認識されるようになってきました。
■サルコペニアの診断基準
サルコペニアの特徴は、進行性および全身性の筋肉・筋力量の低下。診断には、筋肉量の低下と筋肉機能(筋力または身体能力)低下の両方の存在を認めることとされています。これまで、ヨーロッパの研究者を中心としたグループおよびアメリカの研究者を中心としたグループによりサルコペニアの診断基準が提唱されていたが、欧米人の基準がアジア人にそのまま適用できるかどうかについても明らかではないため、2014年になり、アジアのサルコペニアワーキンググループによるアジア人のための診断基準が提唱されました。
握力については、欧州で提唱されていた基準値よりも低く設定され、よりアジア人の体格に即した診断基準となりました。
サルコペニアに関する研究がはじまってから20年あまり、メカニズムはまだ十分には解明されておらず、今後の研究の進展によっては、この診断基準も見直される可能性があるでしょう。
■サルコペニア予防
サルコペニアの予防には、バランスのよい食事と運動が重要。
特にタンパク質不足は筋肉量の減少に影響することから、食事や栄養補助食品でしっかりととる必要があります。
なかでも、タンパク質を構成する必須アミノ酸のうち、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシンの3つの必須アミノ酸をまとめた呼び名)は、筋肉を作ったり、修復したりする働きがあります。
しかし、必須アミノ酸は体内で生成できないため、食事でとる必要があります。まぐろやかつおなど赤身の魚、レバーなど赤身の肉、卵、大豆製品、牛乳などがBCAAを多く含む食材としてあげられます。
最近ではこのBCAAを摂取できる栄養補助食品も市販されているので活用しない手はないでしょう。
また、骨代謝にはビタミンDが関わっていることから、ビタミンDの摂取も大変重要です。
サルコペニア予防で最も効果的なのが運動。
筋力に負荷をかける運動(レジスタンス運動)と、全身の細胞に酸素を供給し細胞を活性化させる運動(有酸素運動)の組み合わせが、筋肉・筋力量増加には最も効果的。
皆さんが普段、利用されているデイサービスなどでの運動もサルコペニア対策としては大変重要です。ただし、基礎疾患のある方、関節に痛みなどがある方は、主治医に相談のうえ開始するようにして下さい。
運動は継続が大切なので、デイサービスや自宅・屋内などの安全な場所を利用して、楽しく続けられるようにすることがポイントとなります。
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